2013


2013年3月29日

 

2012年度研究発表会

 


[日時]:2013年3月29日(金)、30日(土)14時~18時
[会場]:早稲田大学早稲田キャンパス(旧称・本部キャンパス)9号館5階大会議室(両日ともに)

 

第1日目:2013年3月29日(金)

 

14:00~14:05 開会の挨拶:長與進(早稲田大学、本会企画編集委員長代理)

 

14:05~16:00研究発表Ⅰ [司会:堤正典(神奈川大学)]

① 貞包和寛(東京外国語大学大学院博士前期課程):

「言語か、方言か、変種か――ポーランド共和国のレムコ語を考える――」

概要:「レムコ」とは、現在のポーランド共和国で「民族的マイノリティ」に数えられる民族グループの名称である。彼らの言語であるレムコ語は東スラヴ語に属し、西スラヴ語であるポーランド語の中でひとつの言語島を形成している。レムコ語は戦前から既に研究されているが、ウクライナ語の方言か、ルシン語の地域的変種かという問題は、今でも議論の分かれるところである。本発表では、レムコ語の言語特徴を概観した上で、この言語を取り巻く状況について考察していきたい。

 

② 菅井健太(東京外国語大学大学院博士後期課程):

「ブルガリア語方言における目的語の接語重複と前置詞păについて-ルーマニア・ブラネシュティ村の方言を例に-」

概要:ルーマニアの首都ブカレスト近郊にあるブラネシュティ村では、ブルガリア語のミジヤ方言の一種が話されている。本発表では、独自に収集されたデータを元に、同方言においてみられる目的語の接語重複の特徴を明らかにする。その際、同方言において用いられる特別な前置詞păの用法にも着目し、接語重複との関連についても指摘する。

 

③ ヨフコバ四位 エレオノラ(東京大学非常勤):

「文の統語構造と動詞の意味的特徴から見たブルガリア語のse動詞の意味と機能」

概要:一般的によく知られているように、ブルガリア語のse動詞は、「再帰」や「相互」または「受け身」や「中相」といった複数の意味を表している。本発表では、se動詞が用いられている文の統語的特徴および動詞のタイプと意味的特徴をもとに、se動詞の意味と機能の分類を再考察し、また多義性のあるse構文の意味・機能の識別が決定づけられる要因について探る。

 

16:30~18:00 講 演 [司会:野町素己(北海道大学)]

Yaroslav Gorbachov (The University of Chicago)

ヤロスラフ・ゴルバチョフ助教授(シカゴ大学):

"A historically-motivated classification of the early historical Slavic verb"

(使用言語:英語)

* 企画:北海道大学スラブ研究センター

 

 

第2日目:2013年3月30日(土)

 

14:00~16:00 研究発表Ⅱ [司会:長與進(早稲田大学)]

① 岡本佳子(東京大学大学院総合文化研究科博士課程):

「亡き作曲家への「回想」――バラージュによるバルトーク像」

概要:ハンガリー国立セーチェーニ図書館の手稿室にて、ハンガリー出身の映画評論家バラージュ・ベーラに関する未資料整理が見つかった。発表ではこのなかから、作曲家バルトークと関係のある資料・晩年の回想に焦点を当てる。見つかった新資料の紹介と2人の交流について概観したのち、バラージュ初期の日記も参照しつつ、ひとりの作家が描く作曲家像の変遷、またバラージュによる関係の「美化」とその限界を考察することにしたい。

 

② 渡邊智紀(外務省研修所ハンガリー語非常勤講師):

「社会主義体制下におけるハンガリー・ブルガリア両国の文化政策の比較」

概要:社会主義体制下の中・東欧諸国の文化政策を比較する。「最も楽しいバラック」と呼ばれたハンガリーと「ソビエト連邦16番目の共和国」と呼ばれたブルガリア、この差はいかにして生まれたのか。文化政策が多様化する一因となったスターリンの死からハンガリー動乱までの変革期とそれ以降でそれらの国がどのように変化していったか、また文化政策を管轄する組織とその規模の変遷についてハンガリーとブルガリアをモデルに比較し検証する。

 

③ 田中柊子(静岡大学情報学部情報社会学科):

「ミラン・クンデラの小説における平民主義と崇高」

概要: ミラン・クンデラの小説における人間観をチェコとヨーロッパの二つの文化コ ンテクストの中で検討する。クンデラ小説では、登場人物は凡庸さを運命付けられ、高みを目指すあらゆる試みは失敗に終わる。一方、大衆を嫌って孤高を求める生き方が好ましいものとして一種のモラルのように描かれる。チェコ的な平民主義の態度で崇高を退けながらも、近代ヨーロッパ小説の系譜を継ぐ小説家を自認し、崇高を表現するクンデラの人間観に二つの文化の混淆を見る。

 

16:30~18:00 講 演 [司会:阿部賢一(立教大学)]

Helena Čapková (Waseda University)

ヘレナ・チャプコヴァー助教(早稲田大学):

“Generation damaged by a gun carriage: WWI, Czech Avant-garde and architect Bedřich Feuerstein (1892-1936) “

(使用言語:英語)

 

18:00~ 閉会の挨拶:土谷直人(東海大学、本会会長)


2013年6月29日

 

日本スラヴ学研究会総会・シンポジウム

 

【日時】:2013年6月29日(土)

13:30~ 総会

14:15~ シンポ・講演

【会場】:専修大学・神田キャンパス1号館2階208教室

【プログラム】

13:30~14:00 総会(会員のみ)

 

14:15~16:45 シンポジウム「スラヴ世界と日本の文化交流」

[報告者]:

ヨフコバ四位 エレオノラ(東京大学教養学部非常勤講師)「ブルガリアと日本の文化交流」

原田義也(明治大学国際日本学部非常勤講師)「ウクライナと日本の文化交流」

ペトル・ホリー(前チェコセンター所長)「チェコと日本の文化交流」

イヴォナ・メルクレイン(東京大学情報学環研究員)「ポーランドと日本の文化交流」

[司会]:沼野充義(東京大学大学院人文社会系教授)

* 使用言語は日本語。

 

17:00~18:30 アンドリイ・ダニレンコ准教授(ペース大学)講演

[講演題目]:Kitab, Cossacks, and Linguistic Ecumenism in Early Modern Lithuania and Poland

[講師紹介]:アンドリイ・ダニレンコAndriy Danylenko(ペース大学准教授):米国ペース大学(ニューヨーク市)を拠点に活動する、世界的なスラヴ語学者。研究領域は広く、主にウクライナ語、ベラルーシ語を中心とした東スラヴ諸語歴史文法、ウクライナ標準語形成史で著名で、社会言語学、言語類型論、地域言語論的研究でも、数多くの業績を上げている。著作は数多く、中でもPredykaty, vidminky i diatezy v ukrains'kij movi: istorichnyj i tipologichnyj aspekty(2003)およびSlavia et Islamica: Ukrainian in Context(2006)は広く参照される著作で、学界で高く評価されている。

[司会]:野町素己(北海道大学スラブ研究センター准教授)

* 使用言語は英語。

 


2013年10 月11 日

 

ヤン・ゲプハルト博士講演会

日時:2013年10 月11 日(金)18:15~20:00

会場:立教大学池袋キャンパス 12 号館 地下 1階 第 3・4会議室

講演題目:「ボヘミア・モラヴィア保護領におけるチェコ文学と映画」(通訳あり)

共催:立教大学大学院文学研究科比較文明学専攻、日本スラヴ学研究会

司会:阿部賢一(立教大学)

講師紹介:ヤン・ゲプハルト博士(チェコ科学アカデミー歴史研究所)1945年生まれ。20 世紀中欧史を専門とし、とりわけ、ボヘミア・モラヴィア保護領期の専門家として知られる。現在、チェコ科学アカデミー歴史研究所専任研究員。カレル大学哲学部においても教鞭を執っている。