2019年度日本スラヴ学研究会総会・講演会

2019年度日本スラヴ学研究会総会・講演会

 

[日時]:2019年6月22日(土) 14時半~ 総会(会員のみ)、15時‐18時 講演会

[会場]:東京大学本郷キャンパス 法文1号館 113教室

 

[プログラム]

13:00~14:15 企画編集委員会(委員のみ)

14:30~14:50 総会(会員のみ)

 

《講演会》

15:00 開会の挨拶 三谷惠子(東京大学)

 

15:05~15:35 学位取得者による特別報告

貞包和寛(日本学術振興会特別研究員 PD、神奈川工科大学非常勤講師)

「言語の不可算性から見る言語学と言語政策―ポーランドのマイノリティ言語を事例として」

[概要]言語をひとつの自律的記号体系と見なし、その体系内部を記述することは、近代言語学の基本的な研究スタンスである。しかし、ある言語学的研究対象(記号体系)を他の体系とは区別される「言語」とすべきか、それともある言語のヴァリアント「方言」とすべきか、しばしば回答が分かれる問題となりうる。本論文はこのような前提のもとに、言語学者の言語分類と言語政策のそれとを比較対照する。具体的には以下の2点を目的とする。1.ポーランドのマイノリティ言語政策が言語学的議論に与えた影響を明らかにすること。2.ポーランドの言語政策がどのような意図をもって国内のマイノリティ言語を位置づけているかを明らかにすること。本研究の分析から、言語学者による言語分類が政策を追認したり、反駁を通じて変質することが判明した。同時に、言語分類をめぐる言説を精査するなかで得られた知見によって、政策的分類の(表層的には現れない)意図の一部が明らかになった。

 

15:45~16:45 講演1

大平陽一(天理大学教授)「『子どもたちの見たロシア革命 亡命ロシアの子どもたちの文集』(松籟社、2019年)を訳して」

[概要]1920年代前半、亡命ロシア人の子弟が通うギムナジウムで、ロシア革命後の体験をテーマにした作文が生徒たちに課された。こんにちまで残されたそれら作文のうち、本書は64編を訳出している。内戦期の混乱に巻き込まれ、肉親との別離や飢えを経験し、難民同然の身で異境の地への亡命を余儀なくされた子どもたちは、その過酷な体験をどのような文章に託して語っているのか。自らの体験を語るために子どもたちがつかまえた言葉は、どのようなものか。そしてまた、言葉にはできなかったことの背後にあるものは何か、検討してみたい。

 

17:00~18:00 講演2

小原雅俊(東京外国語大学名誉教授)「エヴァ・ホフマン『シュテットル ポーランド・ユダヤ人の世界』(みすず書房、2019年)を訳して」

[概要]かつて真の多民族・多文化国家であったポーランドで、ユダヤ人がポーランド人の間で、ポーランド人とともに暮してきた六百年の歴史を背景に、ポグロムの、次いでホロコーストの残虐に見舞われて歴史の闇に没してしまったポーランドの東部国境地帯にあった「シュテットル=小さな町」、ブランスクの壮烈な歴史から見えてくるユダヤ人とポーランド人の長い分離と共存の実験についての稀代の語り部、あのエヴァ・ホフマン著の『シュテットル ポーランド・ユダヤ人の世界』(みすず書房)にはポーランド・ユダヤ人の歴史のすべてがあると言ってよい。またユダヤ人の歴史のみならず、ポーランドの過去と現在、未来を理解するための必読書ともなっている。興味尽きない本書の魅力の数々を紹介してみたい。

 

18:00 閉会の挨拶 長與進(早稲田大学名誉教授)

 

ダウンロード
2019年度総会講演プログラム
19年度総会講演プログラム案190509.pdf
PDFファイル 142.9 KB